Icon  no04 1
Title  sairam
サイラム
週末の朝、ひとりでビーチを散歩するのが好きだ。彼は誰時に起きれば、日の出を拝むこともできる。サーフィンで波を待つ人、愛犬と歩く人、それぞれが自分だけの時間を愉しむ朝に、昨日まで悶々としていた仕事の問題がふと解決してしまうことがある。「なんでこれが思いつかなかったのだろう?」と不思議に思うが、結局のところこういう時間が足りてなかったということにしている。ランチタイムには、東京から仕事仲間がやってくる。
Photograph by Shinji Yagi
Styling by Tadashi Mochizuki
Hair and make up by Aki Kudo
Text by Ryo Imamura
Model by Yuya, Mutsue Koubara, Aiko

ボリュームの多い
ビーガンレストラン
 『サイラム鎌倉店』は、江ノ島電鉄長谷駅から徒
歩3分ほどの海沿いにある。築70年の古民家であり
ながら、赤いテントが張り出したテラスは20名以
上が座ることができ、海を見渡せる最高の立地と風
情は、京都鴨川名物の川床にも似ている。
この店はすべてが“ビーガニズム”で形成されている。
オーナーの由紀子氏は、工務店を営む設計デザイナー。
提供する食事のメニューはもちろんのこと、内装に
関してもケミカルなものを一切使用せずに完成させ
た。そのせいか、入口をくぐった瞬間から田舎の実
家や友人の家のような温もりを感じることができる。
「うちでは酵素玄米を出しているんです。体内での
酵素の働きが阻害されないので、ダイエット効果や
肌が綺麗になると言われています。継続的に摂れば
お腹の調子がよくなるのがわかります。それに、白
米より甘くて食感も良く、消化にいいんですよ」

自慢の子どもでも紹介しているかのようなにこやか
な表情のオーナーを見ていると、難しいことはとも
かく体にも心にもよさそうな感じが伝わってくる。
「ビーガンって全然食べた気にならない食事だと
思ってたんだけどなあ」と言いながら、東京から来
た仕事仲間と『生命のめぐみランチセット』に舌鼓

をうつ。
普通に肉が大好きという女性陣も「植物性ハンバー
グも豆っていう感じじゃなく食感もしっかりしてい
て美味しい」と太鼓判を押す。
潮風が通り抜ける古民家でのランチをしながらだと、
平日都心ではできない話や浮かんでこないアイデア

が出たりする。お腹は満腹に、頭はすっきりとさせ
てくれる『サイラム』は、ランチミーティングに
もってこいの場所だといえる。

Icon  no04 2
Title  losango
ロザンゴ
充実のランチを済ませると、東京から来た二人を連れてビーチへ。食事中に出たアイデアを膨らませながら海岸線を歩く。初冬の海岸も歩いていると寒さもあまり気にならない。むしろ体が温まり、吹く風もやさしく心地好い。三人である程度アイデアを出し合った後は、いつも新しいインスピレーションを与えてくれるインテリアショップの『ロザンゴ』へ。由比ヶ浜から一歩入ったところに位置し、『サイラム』から車で5分とかからない。洗練された品々が並ぶ話題のお店だ。

機能性と造形美から生まれる
インスピレーションの溜まり場
 「一人なので自由にやらせてもらっているんです」
そう話すのは『ロザンゴ』のオーナー坪井盛朗つぼいしげあき氏。
朝、波をチェックしていいのが来ていると海へとサー
フィンに出る。その後、朝食をとって店へ向かい、夕
方まで働いたら家族で食卓を囲み、夜は柔術の教室へ
と出かける(坪井氏は柔術の先生でもある)。ぶれな
いスタイルを持っているうえに、ゆとりもちゃんとつ
くっている人が多い鎌倉エリアで坪井氏の生き方は、
それを地で行っている。
16年もの間、東京のインテリアショップのバイヤー
として経験を積んだ。日本だけでなく世界中あちこち

へ飛びさまざまな物と人に出会ってきた。忙しい生
活のなかで磨かれてきた感性を鎌倉に移住して発露
したのが、ここ『ロザンゴ』。「思いもつかなかっ
たけど、あったら使いたくなる道具」が見事にセレ
クトされ、どれも造形美が担保されているためつい
そそられる。そんな坪井氏のところには近所の人は

もちろん、プロフェッショナルも多く訪れる。
神奈川発のローカルクラフトビール会社のブランディ
ング、横浜に拠点を置くプロスポーツチーム、編集
プロダクションのオフィス内装など、インテリアと
いう枠組みを超えてサポートし、そこに関与する人々
が気持ちよく憧れる世界観をつくってしまう。坪井

氏がかかわった風景は、海外映画で見るカッコいい
世界に近づくのだ。
「お店に来て眺めているだけでもすごくインスピレー
ションを受けるからいろんなアイデアが出るよね」
「全然違う仕事のことを考えていても、新しい視点
をくれるから、ものごとの見方を変えられる」

休日にリラックスしながら家に欲しい物を探しつつ、脳内には刺激をもらう。そんな一石二鳥のお店でさらに坪井氏と話をすれば、アイデアに新しい芽を息吹かせることもできるかもしれない。

Icon  no04 3
Title  kokemaru
こけまる
『ロザンゴ』でお気に入りのプランターハンガーとエコポッドを見つけたため、そのまま鎌倉山にある『草花屋 苔丸』へと足を向ける。海沿いから車で約15分。坂道を登ると出てくるのは緑に覆われた一軒家。お店の中には、存在感抜群の主演級からいぶし銀のバイプレーヤーのようなものまで、十人十色の個性的な植物で埋め尽くされている。

鎌倉山に佇む緑の小宇宙
『草花屋 苔丸』。
鎌倉山にある“秘境”。その外観もその店内も鎌倉山
の風景と調和しているにもかかわらず、別世界をつ
くりだしている。色鮮やかな花々で飾られているわ
けではなく、苔丸との名前のとおり、基本は緑。緑
で覆い尽くされている。山の中に緑だから「目立た
ないのでは?」と思うかもれないが、ちゃんと存在
感を出しながらでしゃばってもないところが絶妙だ。
店内を進むと中庭があり、決して広くはないが、深
い森の中に立っているような感覚になり、ここが鎌
倉だということを忘れてしまう。ワイルドなコウモ
リランや多肉植物など一つひとつが個性的。日本は
もちろん、東南アジアなど各国から珍しい植物を仕
入れているこのお店の店主は、プランツデザイナー

の赤地光太郎氏。
「これ、めちゃくちゃ危険なので気をつけてくだ
さい」
中庭から更に奥の部屋へと案内してくれた赤地氏の
一言に固まる訪れた面々。「一体誰が買うんだろ
う?」とつぶやいてしまいそうな植物もまた“鎌倉

山小宇宙”のバランスに一役買っている。もろろん、
可愛らしいものから、おもしろいもの、エレガント
なもの、癒されるものもたくさん。どんな人でも行
けば必ず欲しいプラントと出会えること間違いなし。
『苔丸』へ来ると新たしいプランターハンガーも、
すぐに追加の検討をすることになってしまう。しか

し、これで部屋にお気に入りの緑を置き、新たな気分で一日をはじめられる。
海からはじめた休日は気持ちよく終われる日が多い。おそらく、光と風、波の音が、頭(中を含めて)からつま先までの全身をリフレッシュしてくれるからだろう。情報を上書きせざるを得ない毎日を送るなかで、どこかで一休みする時間が必要になる。ときには家でだらだらと過ごすのも悪くない。でも、情報ではなく昨日までの自分自身をアップデートしたいと思ったら、海からはじめる晴れた日の鎌倉の街をおすすめする。

Slide01 Slide02 Slide03 Slide04 Slide05 Slide06 Slide07 Slide08 Slide09 Slide10 Slide11 Slide12 Slide13 Slide14 Slide15

Title  style Title  style  m

Style01 cover スウェットシャツ 8,500円(すべてChampion)、その他スタイリスト私物
Style02 cover スナップスウェットシャツ 9,500円、スニーカー 14,800円(すべてChampion)、その他スタイリスト私物
Style03 cover パーカ 17,800円、Tシャツ 2,300円(すべてChampion)、その他スタイリスト私物
Map